3回目の訪問
入院時のお医者さんの説明で、”目標は2週間で退院”
来週がそのゴールになる
さあ、どんなかな? 期待と不安と・・
今回お世話になっている病院はすべてが個室
階層別で、担当科が違うんだと思う
見晴らしのいい高台で、遮るものがないので晴れた日には陽光が燦々と差し込んでくる
なんとも、気持ちのいい部屋
これならば、治療・養生も良い経過になりそうな感じ
外は雪が舞うような空模様だがここはポカポカあったかい
病室へ行くと
それまで繋がれていた鼻へのチューブなどが外され
病室の壁から来ているコードのようなものが腕につながっている
「ここから点滴がされているのだろうか」
点滴といえばバッグをぶら下げるキャスター付の什器が定番だと思っていたから不思議な感じ
それと首から何か四角い計測器のようなものをぶら下げている
「これは、脈拍とか体温をモニターするものだろう」
データは、ナース・ステーションでモニターできるようになっているんだろうなあ
新しい病院は、こんななんだ
ナースさん達も、キャスター付のコンパクトなパソコン台を押しながら病室を廻っている
起き上がって
ということで、ベッドの上に起き上がって腰かけてた
”おっ、調子良さそう”
やっぱり、素直にうれしい
ベッドに横たわっている時は、覗きこみながら話しをする
その間には、なんだか 上・下がある、健康・不健康がある、弱者とそうじゃない者があるが
起き上がってると、もう普通に話しもできる
少しやせた感じはあるが、なんだか入院する前より顔色がいい、血色がいい
『昨日、シャワーを浴びせてもらった、気持ちよかった』
”そうだよな、家のお風呂は脱衣所も寒く古いから使い勝手もわるいしな”
なんて考えながら
その笑顔からよほど気持ちよかったのが伝わってくる
病気より健康のほうがいいに決まっているが
今は、病気と健康を比べたりする感覚が薄まってる
「生きてるだけで、いいや」
存在がありがたい
90歳半ばの親を見る目が変わってきた自分に少し気づく
”人間って存在自体に価値があるもんなんだ” と思った
健康じゃなくちゃ価値がない
もっと広く言えば
勉強ができなければ価値がない
大きな会社に勤めているほうが価値がある
ということは、大きな名のある会社勤めじゃないのは価値がない
ひとは、そんなことを目的にして生きて居るんだろうか?
そして生きて来たんだろうか?
そうじゃないよな、と気づかせてもらった
「さて、洗濯物ある? 洗ってくるからさ」
母と子の絆
なんだか、親子の距離が縮まった
還暦を過ぎるまでこんな感覚を味わえた
幸せだ